Trigger Rates、Trigger Point って何?
- natsukigash
- 2022年9月4日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年8月24日
2022年に入り、年8回発表されるカナダ中央銀行の金融政策決定会議で、利上げが繰り返されることとなり、ニュースで、”Trigger Rates”や”Trigger Point”という言葉を耳にすることも増えたのではないでしょうか?では、一体どういう意味で、どのような影響が出てくるのしょうか。
現在カナダの大手銀行で、固定支払いの変動金利を選択されている方には、知っておくべき重要な内容になりますので、詳しく説明致します。

まずは、固定金利と変動金利の違い
モーゲージを組むときに、固定金利、変動金利のどちらかを選択をされたと思います。固定金利は月々決まった利息、元本を支払うのに対し、変動金利は、カナダ中央銀行の発表するプライムレートによって、利息が変動します。過去の統計から見ても、固定金利より変動金利の方がレートが低い、契約期間内に解約する場合は、固定金利に比べてペナルティが低いなどのメリットがあります。
カナダ大手銀行の変動金利と、その他金融機関の変動金利の違い
カナダの大手銀行以外の、金融機関で変動金利を選択されている方は、プライムレートの変動により、月々の支払額が変わっているかと思います。その場合は、今回の”Trigger Rates”や”Trigger Point”に関しての影響は受けません。というのも、レートに合わせて、月々の支払額が変動している為、お選びになっている完済期間で支払が終えるように、その都度調整されているからです。
しかし、大手銀行の固定支払い変動金利の場合、月々の支払額は固定されているが、利息は変動するため、元本へ支払われる金額が変わってきます。そして、金利が上がるとどうなるか?ということですが、月々の支払いがほぼ利息への支払となり、元本が減らない事になってしまいます。
詳しく、数字で見てみましょう。
例えば、今年1月に$585,000のモーゲージを組んでいた場合、変動金利が1.45%だったとします 月々の支払いが$2,005に対し、利息が$707、元本$1,298返済されていたものが、今年8月では、変動金利が3.70%の場合、同じ月々の支払いでも、利息が$1,804、元本$201の返済となります。
元本が減らないということは、どういう状況なのか
完済期間30年、5年タームで契約していた場合、5年後の次の更新では、完済期間25年のモーゲージの未払い残高になっている必要があるため、調整が必要になってきます。
そして、どのように調整するかというと、
①まとまった額を繰り上げ返済する
②月々の支払額を上げる
③固定金利に変更する
などの方法で、元本の返済ができるように調整する必要があります。
Trigger Ratesとは
金利が上昇し、月々の支払が利息100%になる場合をいいます。金利がTrigger Ratesを超えると、未払いの利息がモーゲージの未払い残高へ加算されていくことになります。Trigger Ratesを超えた時点で、上記でお勧めした、繰り上げ返済や月々の支払額を上げる必要がでてきますが、この時点では、強制ではありません。ただ、これから説明する”Trigger Point”に達した場合、増えた利息分の支払いをする必要がでてくるため、利息に対して、利息を払うという事態になってきます。
Trigger Pointとは
Trigger Pointは、銀行によって規定が変わってきます。例えばカナダに住む日本人が多く利用しているTDバンクの場合は以下のような規定になっています。
住宅購入時に20%の頭金を支払っていた場合、モーゲージの残高+増えた利息分が、モーゲージの承認を受けたときの不動産価値80%を超えたときが”Trigger Point”となります。
頭金20%以下(住宅保険ローンがある)の場合、不動産価値の105%を超えるたときが、”Trigger Point”となります。
Trigger Point を超えたらどうなるのか?
TDバンクの場合、”Trigger Point”を超えると、TDバンクより書面で通知が来ます。通知が来たら30日以内に、上記で説明した、元本と利息の支払額を増やす、固定金利に変更するなどの手続きが必要となってきます。何も返答がない場合、TD Helpsから解決できるように連絡が来ます。3回連絡があっても、何もアクションが見られない場合、債務不履行とみなされ、抵当権がTD Specialized Customer Assistance に移行されます。
Trigger Rates ,Trigger Point に達することは、前例が少ないことで、戸惑っている方も多いかと思います。
上記のような最悪な事態にならないよう、銀行より通知が届いたら、必ず銀行へ連絡を取り、現在の元本の支払状況を確認し、どのような対処がベストなのか、ご相談ください。
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